達也(たつや)

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「寒ッ!?」 「“寒ッ!?” じゃないよ! とっとと起きてくれないと、朝ごはん食べそこねるだろ!?」 「ん~、起きる起きる~」 「制服ここに置いとくから。洗濯したし、アイロンもかけといたからね!?」 「ん、ありがと達也」 「んじゃ、早く来てよ!?」 そういいながら部屋を出ていく我が義弟。やれやれ、それでは起きるとしますか。 「おはよう、達也」 「おはよう姉ちゃん。はい、朝食ね」 「お、今日は和食ね。個人的に生卵ではなく卵焼きがよかったんだけどね」 「じゃあ次からそうするよ」 「よしなに」 うんうん。ピカピカの白いご飯に焼き魚、味噌汁と納豆と、これは自家製のヌカ漬けか。これぞ日本の朝ごはんよね! 「いっただっきま~す」 「召し上がれ」 う~ん、焼き魚は焦げもなく、味噌汁は出汁がしっかり取られて、自家製のヌカ漬けはパリパリと良い歯ごたえを醸し出している。 「ごちそうさま!」 「お粗末さまでした。じゃ、洗い物済ませるから」 「うん。わかった」 そういいながら、私は食堂から居間に移動する。 我ながら良い弟を持ったものだ。母親が旅行に出かけてから早二週間。最初のうちは分担して家事をこなしていたが、私の担当するときに限り事故(ここ重要)がおこり。結果、万能型の我が義弟が、家事の一切を取り仕切る手筈となったのだ。 べ、別に虚しくなんかないんだからね!! 適材適所っていう言葉があるんだから!! 「? 姉ちゃん、何でソファーの上で膝抱えてんの?」 「うん。自己嫌悪」 「??」 ほっといてちょうだい。どうせ女子力MAXのあんたに持たざる者の気持ちは分からないのよ。 「とりあえず、学校行こうよ?」 「ん、まぁ気落ちしてもしかたないしね。行こっか」 そういいながらソファーから降りる。終始視線を反らし続けていた達也がようやく安心したように息を吐いたのが微妙に印象に残ったが、気にする必要がないので二秒で忘れた。 「今日体育だろ? ほら、体操着。ちゃんと洗濯しといたから」 「ん、そいじゃ行こ」 「あいよ。戸締まり確認よろしく」 「心得た」 時代劇風に返事をして、窓と勝手口の鍵を確認。ついでにガスの元栓も確認して、玄関に向かう。するとそこには、すでに靴に履き変えた達也が待っていた。
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