Take:01

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「将臣、いい加減起きて下さい? 今日は朝から雑誌の取材が二件と3ヶ月後に発売予定のfirstシングルのレコーディング、午後からは秋から始まる連続ドラマの撮影と…」 「朝から煩ぇよ!ボケマネが!…言われなくても今日の予定位頭に入ってる」 そう言う将臣だが、布団を深々と被り僅かに髪が見え隠れする程度で、今すぐ起きるとは到底思えない。 「そうですか。 なら良いんですが、もうそろそろ時間も余り無いので早めに用意をお願いしたいのですが」 そう言いつつ、もう何度目になるのやらと、いつまでも布団にくるまったままの将臣を冷ややか且つ、呆れたように見下ろすと、そっと布団に手をかける。 そしてベッドの中で身を丸める将臣の耳元で、マネージャー高丘 啓嗣は、一言妖しく囁く。 すると、思惑通り将臣は布団を高々に蹴りあげ飛び起きた。 "あー…いつもながらもっと早くこうするべきだった" と、啓嗣は心の中で密かに反省していた。 「なっ何すんだテメェ!毎度毎度、朝から気色わりぃ事すんじゃねぇっ!沈めんぞっ!?」 将臣は口にしながら自身を抱きしめるように両手を胸の前で交差させ、両二の腕を これでもかという程、思いっきり摩りながら、嫌味な笑みを見せる啓嗣をキツく睨み付けた。 それでも啓嗣は笑みを崩す事なく、用意していた着替えを未だ眉間に皺を寄せ、身を摩る将臣に差し出す。 「早く着替えて下さいね? でないと……解ってますよね?」 と、笑顔で念を押すと啓嗣は部屋を出て行った。 「…あぁ、言われなくとも」
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