第二章・後編……【DEAD END CORPSE】

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 勝てる策だった。勝てる手段だった。  例外があるとしたら。  ────例外があるとしたらならば。  それは、相手が鵺だった事。それだけだ。  相手が鵺だから、失敗した。  相手が鵺だから、成功しなかった。  鵺を殺せなかった。  相手が、鵺だったから。  それ以外に。それ以上の。  理由なんて、ない。 「っが」  クラハシは、身体を動かせない。受けた衝撃は、過去最高記録を更新だ。  前回、負けた時よりも。今回の、開幕の殴り合いの時よりも。  膝を着くなんて。顔を、自分の血で汚すなんて。  苦い。苦味が、喉を焼く。  鵺から受けた暴力は、未だに身体中を駆け巡っているかの様。  …………強い。  こんな強い生物が。  存在していたというのか。  こんなに強い。  こんなに強い生物が。  こんなに強い男が。 「僕の兄か」  クラハシは、両の足で自身を支え。  奮い起つ。  虎は死なず。  龍は……────  
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