第一章:異常の中の日常

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       2 「はぁ……これで一体何度目だ?」 少年こと、風間 圭一〔カザマ ケイイチ〕は最近妙な夢を見ていた。 それは先程のような夢なのだが、その夢をよく見るようになってからはどうも朝の目覚めが悪い。 「最近あんなんばっか……疲れてんのかな、俺?」 そう、疲れているのだ、眠りたいのだ。なので、 「う゛ーーっ、寒ぃ。こんな時は二度寝だな、うん」 それだけ言って、圭一はもう一度布団に身を包み眠りについた。呻き声といい、まるで寒さを嫌がる猫のようだ。 ダダダダダダダダダダ!! そんな中、階段を駆け上がる音が圭一の耳に届いてきた。ここまでくると道路工事の騒音となんら変わらない。 バン! と誰かが部屋の扉を蹴飛ばし侵入して来る。 全く、なんて奴なんだ、と思う。 「くぅおらァ圭一! 早くおきろォ!!」 そう怒声をあげながら、ソイツは圭一の布団をこれでもかと乱暴に強奪し、 「――おりゃ!」 直後……ドスリ、という効果音と共に、ソイツは己の踵(かかと)を圭一のどてっ腹へと突き刺した。 「――ぐはっ!?」 激痛。本当に、なんて奴なんだ、と思う。まぁ実際『なんて奴なんだ?』と問われたら、圭一的にはこう答えざるを得ない訳なんだが……
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