第一章:異常の中の日常

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「よっし、起きた! さすがは瞳様の目覚まし踵落とし。効果はバツグンね」 ………妹です、ハイ。 名前は瞳〔ヒトミ〕。圭一より二つ年下の女の子である。 長髪で、ある程度の整った顔立ちの中学一年生。身長は平均ぐらいと割と普通だ。 性格も普通……だと思うのだが、最近は反抗期のせいか、嫌に圭一に冷たかったりする。そのため、 「ってうわっ! 圭一汗だくでなんかキモい。ナメクジみたい……うぉおえぇ」 と、こんな具合に、毎日のように圭一に精神的ダメージを与えてくるのである。 言葉からもわかる通り、呼び方も『お兄ちゃん』ではない、『圭一』だ。 「あのなぁ……」 そんな妹にキレてもいいですか? と圭一はやるせない怒りを覚えた。 プルプルと震える。まるで決壊寸前のダムのようだ。 「……まぁいい。そんな事は一先ずおいといて、だ。お前、俺に何か一つ言うべきことがあるんじゃないのか?」 だが圭一も鬼ではない。とりあえず謝ったら許してやろう。そう思った。 「………えーと、死ね?」 「いや、なんでだよォォォォォォ!! なんでこの状況で死ね!? ヤクザでももうちょっとマシな回答をよこすわ!!」 結局キレました……ハイ。
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