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「あーあーうるさい黙れハゲ。朝からそんなテンション高くキレてんじゃないわよ。近所迷惑って事も考えなさいよねぇ。全く、なんでこんな事になっちゃたんだか……」
そう言いながら耳を両手で塞ぐ瞳。その目は氷のようにどこか冷たい。
「ふっざけんなバカ! 純然たるお前のせいだろーがッ! お前さえここに来なきゃこんな事になってなかったんだよ!! ってアレ? ちょっと待て」
と、ここで圭一はある事に気づいた。
「なんでテメーがここにいんだよ? 部活は?」
そう、本来ならば妹がこんな風に朝の貴重な時間を無駄にしてまで兄を起こしに来る事など滅多にないのだ。
そもそも、毎朝起こしてもらっているほど圭一も子供ではないのだが。
「時計をよく見ろ馬鹿。時間はまだ余裕でしょうが馬鹿」
時計の方をチラッと見てみる。時刻は7時10分になったところだった。
ピピピピピピピピピピピピ!!
直後、目覚まし時計が部屋中に鳴り響いた。本来ならばこの時間に起きるはずだったのに。
(あぁ……俺の貴重な睡眠時間が)
何か自分の中で大切なものを失ってしまった。
そんな気がする。
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