15人が本棚に入れています
本棚に追加
1
暗闇のなか、少年は一人で立っていた。理由なんてわからない。
「ここは……どこだ?」
辺りを見ても何もない。どこを見ても、闇、闇、闇……。
「……………………………」
それにより、たった今わかった事が一つだけできた。
“ここには何も無い”というどうしようもない現実が。
「………誰か……誰かいねーのかよ」
強烈な孤独と不安が少年を襲う。
「………ん?」
すると、少年の背後から一点の光が射してきた。その色は鈍く光り輝く『銀色』。
振り向くと、太陽を直で見たような衝撃が目に走った。すかさず手を前にかざす。その時、
ヒタ……ヒタ……。
「――ッ!?」
裸足で何かが歩いて来る音が聞こえてきた。
「何だよ……アレ?」
よく見ると、巨大な人影のようなものが見える。
「……………………………」
何も言う事ができない。
求めていたはずの『誰か』なのに、感じるものは恐怖しか湧いてこない。
背筋が凍りついたかのようにゾッとする。
最初のコメントを投稿しよう!