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三年前 ボクは不慮の事故で下半身不随になった
いつもの様に 職場に自転車で向かっていた。
その日も 同じ時間にいつもの信号機で青に変わるのを待っていた。
自動車の方の信号が青から黄色、黄色から赤に切り替わった時、1台の白いバンが ボクの方へ突進してきたのである。
いわゆる、居眠り運転であった。
先生は 下半身はもう動かないので車椅子生活になるといったが、何故かその時必ず歩いてヤル!!と 持ち前の明るさとバカが混じあって ヤル気満々になった
それからは 毎日リハビリと言う散歩をした。最初は上半身だけで病室の中を這いずりまわり 何も感じない下半身に苛立ち諦めそうにもなった。
そんなある日、ストレスから いろいろ不調が出てきた、 ピークだったんだろう 死にたくなり独り病室ですすり泣いていた。
その時、1人の少女が部屋の扉を少し開けた。
『お兄ちゃん、どうして泣いているの?』
少女はボクの返事を待っているようだ。
『お兄ちゃんは、もう脚が動かないんだよ、だからもうダメだなぁ…って』
少女は、目から涙を流しながら『お兄ちゃんはまだ生きているよ、生きているんだよ、まだこの世界に居るんだよ。 私のパパはもうここに居ないんだよ、だからパパの分まで生きてよ、おねがい…おねがい』
そう言うと、部屋から出ていった、
ボクの目から涙が流れていた。
不思議と嫌な涙ではなかった。
少女の一言で落ち込んでいた自分が恥ずかしく思えた。
あの少女の為に自分は強くなろう、必ず歩いてみせる
それからは落ち込む暇など無い位集中した。
必ず立つんだ!必ず
あれから二年が経った、ボクは毎日 朝4時頃からリハビリと言う散歩をしている今では歩いていることが実感出来る位までよちよちではあるが、あるいている
二年前のあの医者に言ってやりたかった、ボクは歩いているぞ!!
そして思い出す、あの少女は… 会ったら御礼したい、キミのおかげでボクは今ここに居るんだと。
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