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…え?
膝の上に何かが乗っかった。
カイロだ…。
カサ…
それを手に隣を見れば、佐藤くんは新しいホッカイロを出している所。
これ…さっきまで佐藤くんが持ってたやつかな。…あったかい。
「…ありがとう゛」
「俺のせいにされても困るしね」
「そんなこと言わないよ゛」
「…鼻水タレてる」
「え゛…」
「嘘だから」
……。
なんだか不思議。佐藤くんの意地悪が、今はあったかい。
あ、あったかいのはカイロのお陰か。
「くしっ…ズ、」
ガラ
「はい、席着けよー。しかし寒いな今日もー」
カサ…
あったかい…。
先生の声だけが響く教室。
少し前までは憂鬱だった佐藤くんの意地悪は、一時は無くなったけど、また復活して。
今は相変わらず、続いてる。
でも…―。
「いいかぁ、明日の小テストはここ出すからメモしとけー」
…今日も平和。
そう思える、ワタシがいる。
それはなんでだろ。
佐藤くんの意地悪に慣れたから?
少なからず今は…憂鬱には思わない、かな。
「くしっ…」
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