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山の紅葉も終わり、枯れ葉が風に舞う寒い、冬。
「そっちケチャップ足んねーよ」
ガヤガヤ
「これは20円ってとこだろ」
それは突然やってきた。
ガヤガヤガヤガヤ…
文 化 祭。
「菜々っ」
「うん…?」
「もう少し奥に行けないかな、上履きがカーテンの隙間から見えてるの」
「あ…ごめんね」
私達クラスの出し物は、教室を全面的に使ってのお化け屋敷だ。
ありきたり。
「ごめん菜々」
…あれ、また足出ちゃってたかな。
「ごめん」
「ハハッ、ごめんはこっちなのよっ。アンタと交代の子が休憩から帰ってきてなくて、もう少しだけライト係やってほしんだけど…」
「あ、うん。大丈夫」
「ありがとっ。また呼びにくるっ」
ワタシの役割は、カーテンの隙間から青いライトを照らす、というもの。
…しかし、こんなライトで雰囲気が出るから不思議。
「いたた…」
かれこれ2時間もしゃがんでるから、足が痺れたみたい。
「足痛いね」
すぐ隣では、同じようにしゃがんでる女子。
手には棒が握られていて、その先を辿ればコンニャクが吊されている。
「ありきたり…」
「アハハッ、それは禁句っ。皆が思っててツッコまないことだからね」
「ご、ごめんなさい」
「フフ。謝らなくてもいーよ」
キャッ
「お。お客、来たみたいだね」
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