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数ヵ月前…―。
「友達に会いに行く度…その、見てましたっ」
「…はぁ」
これは、島田くんと交わした第一声。
「小野寺さーん。幸せにしてもらいなよー」
「…はぁ」
そしてこれが。島田くんと付き合うことになった時、佐藤くんと交わした第一声。
自分でも平凡な顔してると思うし、加奈もワタシが一目惚れされた対象であることに驚いた。
…ちょっと失礼。
佐藤くんはこの頃から、よく話し掛けてくるようになった。
「小野寺の空気が好き」
「嘘とか付きそうにないよね」
「可愛いなっ」
これは島田くんの場合。
「ブサ小」
「島田?…あぁ、ブサ小は先に帰った、って告げたら帰ってったけど?」
「…可愛くないね」
これは佐藤くんの場合。
平和に静かに流れていた時間に“恋愛”なんてゆうオプションがついて。
どちらかといえば興味の無かった学校は、好きに変わった。
けれど唯一その気持ちを軽く乱すのが、佐藤くん。
本当に軽く、つつくくらいの意地悪をしてくる。
大抵は無視すれば済む話だけれど。
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