3365人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇブサ小」
「……」
「さっき教室で、島田と元カノ一緒だったね」
未完のまま、買うのを止めてしまった少女漫画がある。
ありきたりな話にココロが冷めてしまった。
ただ、そんな理由。
「佐藤くん…」
「なに?」
「優しくないね」
「…それはどーも」
だから、うん。
島田くんに自分の不安や疑問に思う気持ちを言っちゃわないのも、心が冷めちゃったからなんじゃない?
時々…あの人の彼女は誰なんだろ、って分からなくなる。
* * *
「っ……えっ…と」
休み時間になって、加奈の机まで行こうとした途中。
急に、男子がスカートを捲ってきた。
「岡本…お前さ、今の時代それは無いよ」
「小学校の時、スカートめくり流行ったよな」
友達も友達だ。
佐藤くんなんかと一緒にいるから、こんなこと平気でしちゃえるんだ。
「流行った。流行ったけど…それが今、この人のスカートを捲ったことに何か関係あるの?」
「いやぁ。小野寺さんは白だって信じてんだけど、見えなかったわ」
「…ブサ小の見たって萎えるだけでしょ。止めといたほうがいいと思うけど」
「ちぇー」
「ブサ小もさー、気をつけなよ。間違って見えちゃったらどうすんの」
……。
「島田もよく付き合えたもんだね」
うるさいな…。
「佐藤くん…チャック開いてるよ」
ワタシの言葉に佐藤くんは、自分のズボンに視線を落とす。
「ハハッ、佐藤社会の窓ーっっ」
友達に笑われてしまう佐藤くんに、萎える…、と追い討ちの言葉を呟いてやった。
「あー…そう。ブサ小には言われたくないんだけど」
島田くんが同じクラスだったらな…。
そしたら元カノが教室に来ちゃう前に、島田くんの机まで行って。
2人から逃げる必要も無くなるのに。
…2人が話してるのは辛い。
なんて、これは我が儘になるかな。
心が狭いって言われるかな。
“元カノとちゃんと終わってる?”
“どういう関係?友達?知人?”
最初のコメントを投稿しよう!