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「ねぇブサ小」 「……」 「さっき教室で、島田と元カノ一緒だったね」 未完のまま、買うのを止めてしまった少女漫画がある。 ありきたりな話にココロが冷めてしまった。 ただ、そんな理由。 「佐藤くん…」 「なに?」 「優しくないね」 「…それはどーも」 だから、うん。 島田くんに自分の不安や疑問に思う気持ちを言っちゃわないのも、心が冷めちゃったからなんじゃない? 時々…あの人の彼女は誰なんだろ、って分からなくなる。 * * * 「っ……えっ…と」 休み時間になって、加奈の机まで行こうとした途中。 急に、男子がスカートを捲ってきた。 「岡本…お前さ、今の時代それは無いよ」 「小学校の時、スカートめくり流行ったよな」 友達も友達だ。 佐藤くんなんかと一緒にいるから、こんなこと平気でしちゃえるんだ。 「流行った。流行ったけど…それが今、この人のスカートを捲ったことに何か関係あるの?」 「いやぁ。小野寺さんは白だって信じてんだけど、見えなかったわ」 「…ブサ小の見たって萎えるだけでしょ。止めといたほうがいいと思うけど」 「ちぇー」 「ブサ小もさー、気をつけなよ。間違って見えちゃったらどうすんの」 ……。 「島田もよく付き合えたもんだね」 うるさいな…。 「佐藤くん…チャック開いてるよ」 ワタシの言葉に佐藤くんは、自分のズボンに視線を落とす。 「ハハッ、佐藤社会の窓ーっっ」 友達に笑われてしまう佐藤くんに、萎える…、と追い討ちの言葉を呟いてやった。 「あー…そう。ブサ小には言われたくないんだけど」 島田くんが同じクラスだったらな…。 そしたら元カノが教室に来ちゃう前に、島田くんの机まで行って。 2人から逃げる必要も無くなるのに。 …2人が話してるのは辛い。 なんて、これは我が儘になるかな。 心が狭いって言われるかな。 “元カノとちゃんと終わってる?” “どういう関係?友達?知人?”
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