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未完のまま買うのを止めてしまった少女漫画がある。
その先の展開が自分の思い描いてる結末じゃなかったら、と怖くて本棚にしまってある。
本当は、その先を直視するのが怖くて辞めた。
だから、ね。
島田くんに気持ちを言えないのも聞けないのも、きっと怖いからなのかも。
本当は、その先に待ってる結末が怖くて…だから言えないんだ?
「小野寺ーっ」
放課後。
いつものように島田くんの教室へ行くと、窓から顔を出して待ってくれている。
「ごめん、今日一緒に帰れないんだわ。委員会がある」
島田くんの周りには男子が集まってて、隣には佐藤くんの顔があった。
私達のクラスはさっき解散したばかりなのに…相変わらず行動が早い。
「…そか。分かった」
「悪いっ。じゃーまた明日、小野寺」
「バイバイ…」
そっか…。
「ねぇ、ブサ小」
いつものソレに、帰ろうとしていた足を止める。
「佐藤、またお前はそんな呼びか、」
「バイバイ、ブサ小」
隣で注意をする島田くんの言葉を遮って、佐藤くんはワタシにバイバイと言う。
時々、佐藤くんの表情が優しい。
いつも仏頂面で、男子の前でしか歯を見せて笑わないんだ。
「バイバイは」
「…うん、バイバイ」
今はなぜか…優しい顔。
優しい佐藤くんは、ちょっと変。
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