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「佐藤くんて、彼女いないのかな…」
お昼休み、ポツリと出た言葉に島田くんがムセた。
「ケン、ケンッ。っえ?」
彼は今日も、焼きそばパンを食べる。
「なに、急に」
「…ワタシに話掛ける暇があるのなら、彼女のとこにでも行けばいいのに。でも行かないってことは、いないのかなって」
「そういや、高校入ってからは誰とも…。珍しいな」
「珍しいの?」
「え、だってチャラそうじゃない?」
チャラ?
「ワタシは分からないけど…。友達なのに知らないんだ?」
「まぁね。男ってあんま、恋愛話とかしないし。だからそこは女子が見た目で判断してる部分と同じ。俺はあいつ、チャラいと思う」
…そんなもんなんだ。
「それより今日さ、1回も休み時間に来なかったね。教室」
「あー…うん。加奈と話てた」
うそ、本当は行ったんだけど。
元カノと話してるとこに入ってけるワケない。
『嘘付きそうにないよね』
最初に島田くんが言った、ワタシを見た目で判断した言葉。
…嘘つくよ。平気でつけるよ。
でも、つかせてるのは島田くんだよ。
それからずっと、気になってる筈の未完の少女漫画を、ワタシが買う日は無かったんだ。
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