それなりのこと 1

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立宮は男勝りで、尚且つ歯に衣着せぬ言い方をする。 いわゆる女版陽平みたいなものだ。 「楠原、悪気があって言ってるんじゃないから、立宮は」 どんどん表情が強張っていく楠原にそっと耳打ちをする。 「……うん」 楠原は固まったまま、小声で返事をする。 「おじさん元気? 久しぶりに孝文の家のアトリエ行きたいな、私」 立宮にそう言われ、チラリと楠原のつむじを見る。 俯きながら、いろいろ思案しているんだろうな。 「ダメ。 彼女できたから、他の女は家に入れないことにした。 悪いけど」 一瞬、立宮が目を丸くする。 陽平は小さく口笛を吹いた。
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