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「えらい入れ込んでるのね」
「そうだね」
「ハハ。
さらっとのろけてるし。
彼女さん、顔赤いわよ」
楠原の顔を見ると、ほんのり赤みがさしていた。
俺のシャツを握る手の力が少し強くなった気がする。
「何さん?」
「楠原だよ」
「孝文に聞いてないわよ。
本人に聞いてるの」
「……あ。
楠原、……果歩です」
楠原は俯いていた顔を上げて、怯えながらもちゃんと立宮を見てそう答えた。
「果歩ちゃん、ね」
ふーん、という顔で笑う立宮。
同い年なのに、何故か楠原の方が何歳も下に見える。
立宮は、
「よろしく、果歩ちゃん」
と、楠原に右手を差し出した。
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