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次の日。朝の眩しい日差しを浴びて目を覚ましながら、学校へ向かう。空には雲一つなく、いわゆる秋晴れと言うものだろう。どこかから雀のさえずりの様な音が聞こえる。
ガッ、「よう、秋人。」
物の見事に気配を消して背後から足掛けをしてくる奴がいた。
「毎朝よく飽きねーな。」
と、秋人も見事にそれを跳んでかわす。
「なかなか引っかかんねーからな。」
「そんなんじゃ絶対に引っかかんねーよ。」
この少年は有川祐太。秋人とは近所で幼稚園から高校まで全く一緒の幼なじみだ。秋人への足掛けは毎朝の事で、もはや習慣化している。
「昨日の模試どうだった。」
祐太が言った。
「全然だめだった。見直すのが苦痛なぐらいに。」
「お前はまだいい方だろ。俺なんか大学行けるか分かんねーよ。」
この時期にもなると、周りが受験を意識し始める。秋人と祐太が通う松谷高校は、この辺りでは珍しく生徒のほとんどが大学へ進学する。進学校と言えるかもしれないが、レベルはそれ程でもない。
三年生はこの秋が勝負といった所で、二年生もそれにつられるようとにして大学の話をちらほらとする様になる。
「大学って言ってもなー。別にやりたいこと無いしなー。」
「だよなー。」
そんな事を話している内に学校に着き、二人はそれぞれのクラスへ向かって行った。
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