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「綺麗だろ!さっき見付けたんだ。運良く鍵開いててさ」
彼は視線を空に仰いだまま
あたしに語り続ける。
「俺、高校入ってこういうの欲しかったンだよな!」
「…?」
「入学式なンてよ!どーせ校長の話聞いて、クラス行って友達作って帰るだけじゃん?!」
確かに……
中学の時もそうだった。
と納得してしまう自分がいた。
「それだったら、ココでサボって、さっきアイツ居なかったけど…みたいな登場した方が違うっていうかさぁ!」
彼の表情は物凄く愉快で
あたしも思わず、含み笑いしてしまった。
「…?俺、何か変な事言ったかよ?」
少々頬を膨らませて
こちらをみている。
透き通ったキレイな瞳。
短い黒髪が風で靡いていて
彼より低い位置に居るあたしからすると
同じ高さに居ても思うのに
更に身長が高く感じられる。
「なーんにも!」
彼を見ていたら、何故か新鮮な気持ちになった。
「変なの!…でも、1つ予想外の事があったンだ」
「…予想外?」
彼の話し方に
あたしも吸い込まれて
つい聞き入ってしまっていた―――。
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