―――第1章・出会い―――

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地下街のあらゆる店には 女性客で埋め尽くされていて 賑わっていた。 「あーっ!もうっ!これじゃあ進めないようっ!」 そう言い放った1人の女は 両腕に抱えた未精算の商品を持って レジに向かおうとしている。 「早くから準備しないと良い物無くなっちゃうからね」 焦れったそうにしている女の後ろから 宥めるように、もう1人が言う。 「良いよなぁっ!巴は、準備しなくて済むんだもんっ!」 「私は、もう家にあるから。でも、私が買いに来た時もそれなりに混んでたよ」 巴と呼ばれた女は 落ち着いた様子で言う。 2人がそんな会話をしているうちに レジへの道が開けてきた。 「さっさと買ったら、スグ帰ろう!」 「美亜は毎年、凝ってるもんね」 美亜を先頭に 足取りが速くなった2人は 早々に会計を済ます。 今日は、2月 7日。 世間では、1週間後に 女性が男性にチョコをプレゼントする バレンタインデー。 好きな人が居る女性にとって その日は、とても重要な日。 意識するのは、女性だけではない。 男性も、何個貰えるのか... そわそわする時期。 特に 高校最後のバレンタイン を迎える 美亜と巴は 気合いを入れていた。
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