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「離したくないよ~!」
「じゃ、雑貨屋も行かないのね?」
私が苦笑いしながらそう言うとクルは「それは嫌~」と言いながらまだ私を離さずにいた。
―ガチャ―
「華霖、お前さぁ…………っと。…胡桃。俺、邪魔?」
「お邪魔かなぁ♪」
「そっか。じゃあ、後で華霖俺の部屋来て――…「邪魔じゃない!邪魔な訳がないっ!」
私の部屋に入ってきたのは弟の湊。
弟は2人。双子のね。
誤差で兄の光(ひかる)に弟の湊(みなと)
どちらも弟には変わりはない。
「…でも、胡桃邪魔って言ったけど?」
湊はニヤリと笑うと私にそう言ってきた。
お前は本当に私の弟かっ!?
もっと私の見方になれ!
「クルが離してくれないんだって!」
「ふーん?」
「ホントだ、ばかっ!」
「嫌、なんも言ってねぇよ。」
…湊が凄い怪しんでるような顔をしたんだろーがっ!
「湊なんか嫌いだぁ…」
「俺も好きじゃないけど?」
「光のが好きだよ!」
「ホント?」
私がそう言うと湊の後ろからヒョコっと何処から居たのか、光がいた。
「光!?」
「嬉しいな。いっつも華霖、素直じゃないから。」
光もニヤリと笑うと私をマジマジと見ている。
ちょっと、嫌なんだけど…。
「もう!いいから、クルどーにかしてよっ!」
「胡桃ちゃん、今日、昼食食べてっていーから、華霖離してあげて?」
「ホント!?じゃあ離す~♪」
そう言って直ぐ私から離れるクル。
…いいのか、それで…。
それでいいなら初めからそう言えば良かった…。
「光君の料理、美味しいんだよねぇ♪」
「私のは?」
「ん?光君の次かな。」
私の料理は弟に負けるのか。
別にいいんだけどね。
「…あ。で、なんか用あったんだっけ?湊。」
私は湊に思い出しながら聞いた。
「俺の部屋が汚い件について。」
「なっ!?今回は私じゃないよっ!?」
「嫌、うん。…片付けといて。」
「えー…やだぁ。自分ですれよっ!?」
「あー…やってくれるって?はいはいありがとね~。」
嫌、やるなんて一言も…。一人で良いように解釈すんなぁ!!
てかもう居なくなってるし…。
「まぁまぁ。湊がああなのはいつもの事だから。ね?
それより、出掛けるんでしょ?昼には帰ってくるようにね。早く行きなよ。」
「うんっ!じゃ、光君、昼食お願いねぇ。」
「任せて。行ってらっしゃい、華霖、胡桃ちゃん。」
私達は光にバイバイしてから出掛けていった。
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