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成瀬君が私を好きとか。
めちゃめちゃ有り得ない!
つかホントでも私が嫌!!
てかなんかさっきから目がボヤけてなんかフラフラしちゃう…。
なんか………吐きそー―――――……。
「うっ…おぇ。…」
やっば!
ホントに吐きそー…。
「ちょっ!?ちょっと!なに吐きそうな声出してるのよ!?
華霖!?大丈夫?
…なぁんてね。もう華霖ったら芝居上手いんだからぁ。私も上手かったぁ?」
おー。
凄いね、クル。
上手い、上手い。
…でもね、クル。
芝居じゃないよ。
芝居じゃなくてホントに吐きそうなの…。
「わ、わだ、私…トイレ行ってくる…。」
私はそう言ってお店の中のトイレに向かった。
トイレに向かうときに、クルやら深谷君やらの声が聞こえたけど、今にも吐きそうだったから無視した。
―ジャー―
トイレに行くと丁度誰もトイレには入っていなかった。
私はお手洗いの水を出し、手を洗ってからトイレから出た。
私がトイレから出るとそこには私を待っていたのか、壁に寄り掛かっている成瀬君がいた。
「瑞希、大丈夫か?」
「随分といつもより優しいんですね。」
私は成瀬君に待っていてくれていたにも関わらず憎まれ口を叩く。
「で、クルと深谷君は?」
私が成瀬君にそう聞くと、成瀬君はぬいぐるみが置いてある方を指差した。
「…ふーん。」
「てかお前は大丈夫なのかよ?いつもより顔色悪いじゃん。」
さっきと同じ質問すんな…。
私が黙って意味もなく下を向いて俯くと成瀬君が手を伸ばして、私のオデコに成瀬君の手が付いた。
私は何も言わないで黙っていると何秒か経ってから成瀬君の手は私のオデコから離れた。
「お前…帰れ」
………は?
別に吐いただけで帰れって言わなくても良くない?
「イヤだよ。クルもいるんだし。」
私が成瀬君に反抗すると成瀬君は大きな溜め息を吐いてから、口を開いた。
「じゃあ松川も連れて帰れ。」
「無理です。」
私がそうキッパリ言うと成瀬君は一瞬困った顔をしたけど、またいつも通りの無表情の顔に戻った。
そう言うとこも嫌いなんだよ。私は。
俺、余裕です。
見たいな澄まし顔がね。
「兎に角大丈夫なんで。心配なんて無意味な事しないでね。迷惑だから。」
私はそう成瀬君に言うとクルと深谷君の元に行こうと歩き出した。
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