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ふと前を見ると歩道橋の上で空を見上げる女子がいた。
確かクラスの…
二年間クラスが同じなため、顔は覚えてはいるが名前は忘れた。
その子はずっと空を見つめていて、僕はいつの間にか歩道橋を登り、その子の側に行っていた。
「何かあんの?」
彼女はちらりと僕を見て、また空に視線を戻す。
その目には空が映っているはずだが、遥か遠くを映していた。
「…何もない。」
それから僕らは何も話さなかった。それでも気まずくなる事なく、僕も彼女も空を見続けた。
さっきまで真っ青だった空は、今は茜色に染まりつつある雲一つない空になっていて、自分が一瞬何処にいるのか分からない程に圧倒された。
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