プロローグ

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「ごめんなさい」 バツが悪そうに、目線を合わせることなく俯いて、唇をぎゅっとかみしめながら90度頭を下げた目の前の女。 …俺、フラれた? 「なんで?」 思わず口に出た言葉。 だって、面と向かってキッパリ、サッパリ『ごめんなさい』なんて言われたこと一度だってない。 「…不釣合いだから」 「え?」 「あ、あなたの隣を歩くのが嫌なんです」 「…どういう意味?」 「だ…だから。不釣合いだって…不特定多数の人に思われるのが嫌なんです」 「何それ?そんなの気にしなきゃいいじゃん」 「あっあなたは気にならないかもしれないけれど、私は…」 「私は?」 「わたしは…、あなたみたいな容姿の男性が苦手なんです」 俯いたまま、彼女の話はなおも続く。 「あなたの見た目がダメなの…」 おいおい。 誰に向かって言ってんの、それ。 生まれて初めて受けた衝撃。 ……嘘だろ?
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