多脚歩行戦車開発経緯

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多脚歩行戦車開発経緯

行き詰まる経済状況の中、政府が 打ち出した新成長戦略の一つに 「土木・建築現場における ロボット技術の将来運用の為の 試験開発及びデータ収集」 というものがあった。 マスコミに取り上げられる事も 予算審議で問題になる事も無く 粛々と予算が計上され通過した。 要求予算が少なかったのも 問題にならなかった要因の 一つであったが、 当然のように足りない予算は 官房機密費と関係省庁のいわゆる 「埋蔵金」が充てられた。 開発に当たっては国内の 主要工業メーカーと大学の研究室が 主となって研究機関を設立。 そこに防衛省技術研究本部から 職員がオブザーバーとして参加する 形で開発が始まった。 特にロボット開発で世界をリードする 早稲田大学の研究室と本田技研が 最も重要なバランサー部分の開発を 担当したため、開発速度は 当初予定を2年も縮めた。 バランサーと同じく重要なエンジン部分 の開発には、豊田工業と本田技研 三菱重工が開発を担当した。 これにより燃費効率のよい ハイブリッドディーゼルエンジンが 開発された。 試験車両は長年自衛隊の車両を 担当してきた三菱重工と小松が 担当となった。 2021年、既存の車両をベースに 一次試験車両が小松と三菱により それぞれ2両づつ、計4両が開発 された。 建築車両に強い小松は、 今回の技術を民生利用に フィードバックさせる狙いもあった。 小松側の車両は自社の建築車両に 4脚を取り付けたタイプと 2脚タイプの2両を。 三菱は99式施設作業車をベースに 2脚と4脚の2両を製作した。 小松は民生利用も視野にいれ、 より安全性と安定性の高い 4脚を開発したが、歩行速度に 問題があった事と、走行装置に 採用した脚部の変型による整備の 複雑化が問題となり、不採用と なった。 採用されたのは三菱の開発した 4脚タイプで、脚部全てに独立モーター 駆動による走行装置と、歩行用の アウトリガーを装備していた。 小松・三菱共に2脚タイプは速度、 安定性共に無難な仕上がりでは あったが、現場での使用に不安が 残るとして採用は見送られた。 後日この試験車両を基本に、 防衛省技術研究本部が開発要求を 出し、戦闘用歩行車両の開発が 始まった。 この試験車両は公開される事は 無かったが、富士演習場での 公式発表の際に公開される。
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