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「この城……か?」
「そうだが、城では無いぞ」
目が平気で隠れる程に伸びた黒髪、
髪の毛とはうってかわって、
新調したばかりの真ん中の白の十字がトレードマークの黒を基調とした制服に身を包んでいた。
「此処で三年間か……」
「中には、寮もあるし外出も殆どしないだろう」
「今日まで助かった。恩に切る。だが、俺は人間を許す気にならないだろう」
強い意思を持って、彼は答えた。
この意思は折れる事はあるのだろうか。
「そん時はそん時じゃよ。お前さんが決めたなら、手を貸す所存じゃ」
「じゃあな」
男は振り返らず、城に歩いていった。
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