捩じる者

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ガシャガシャと氷柱の残骸を踏みつけ、怒りの篭った声を辺りに響かせながらニタリと笑う根暗。 先程までの楽しげな雰囲気がウソだったかのように、再び緊張が周囲を漂い始めた。 「危うく殺される所でした…」 「バカな…てめぇの能力が発動しないように、ちゃんと手は氷柱から出して閉じ込めたハズだッ…!どうやって氷を砕いた!?」 そう…コイツの能力は手に触れた物を捩じる能力だった。 だからそれを考慮し、奴を氷柱に閉じ込める際にミッちぃは奴の手の部分だけを氷らせずに水を氷結させた。 しかしどういう訳か、奴は能力を仕様して自分を閉じ込めていた氷柱を破壊しやがったのだ。 一体何が起こったのか… 「えぇ…以前までの私ならば、あのまま氷付けにされたまま捕らえられてしまったでしょう」 「なら何故…」 「氷付けにされ、窮地に立たされて私の能力が進化したんですよッ…!」 「進化…だと?」 額に冷や汗を滲ませながら、尋ねる崩斗。 その問いかけに、根暗は口元に気色の悪い下品な笑みを浮かべてこう返した。 「もう手だけではないのですよ…私は、この体に触れる物全てを捩じりッ!千切りッ!破壊する事が出来るッッッ!!ククク…アハハハハハハハハ!!!もう何人も私に触れる事すら敵わないのですよッッ!」 絶望だ… 手だけじゃなく、体全てに能力を発動出来るって…? それじゃ触れた瞬間に腕が… 「さて…それでは報復の時間です…」
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