強化特訓?そんなことより野球しようぜ!

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「本当に面倒だ…」 根暗がボソッと呟いたかと思うと、オレの脳裏のとある映像が浮かび上がり、その後すぐに奴の右足がオレの鳩尾に深くめり込んだ。 「ぅおえッ…!」 激痛と強烈な吐き気に襲われ、胃液まじりの唾液を地面にぶちまける。 「ウッ……ガァ…!」 「やはり貴方は後だ。先にあの氷の少女を殺そう…」 「な…んだと……」 言葉を発するのも限界に近いオレ。 その場に蹲りながら、首だけを根暗に向ける… そして、オレを見下しながら根暗はニヤリと笑い、くるりとオレに背を向けてミッちぃの方へと歩いていく。 「お……い…!やめろッ…その子に手ぇ出すんじゃ……ねぇッッ!!」 「ククク…ロクに動けもしないクセに何をほざいているのやら……貴方はそこで大人しく、あの少女が醜い肉塊に変わる様を眺めているといい」 くそぉッ…! このままじゃミッちぃが…! 痛みと恐怖で震える手足を地面に突っ張り、何とか立ち上がろうと試みるが、ガクガクと震える手は思い通りに動かない。 その間にも、根暗は刻一刻とミッちぃに歩み寄って行く。不気味な笑みを浮かべながら… 「それ以上ミッちぃに近づくんじゃねぇぇぇ!!」 すると、根暗の頭上に雄叫びを上げながら落下してくる崩斗の姿が目に入った。 空中でライダーキックの構えを取りながら、根暗に向かって落下していく崩斗。 しかし 「はぁ…本当に面倒な方々だッ…!」 若干の苛立ちをその顔に表しながら、根暗は廃屋の壁に掌を押し付けた。 すると、壁に大きな亀裂が入り、どんどん上に向かって広がっていくではないか。 「貴方は大人しく瓦礫に埋もれていなさい」 亀裂は落下する崩斗の真横でピタリと止まり、そこからビルの壁がボロボロと崩壊し始めたのだ。 「くッ…!しまっ」 そしてそれは空中にいた崩斗に雪崩の如く襲い掛かり、そのまま崩斗を地面へと叩きつけるだけでは飽き足らず、瓦礫の下敷きにしてしまった。 「ククッ…ではお楽しみの時間ですよ、お嬢さん…」 そして根暗はミッちぃの首に手を掛ける。
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