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「噂によれば、君は未来が見えるんだってね?」
「…!?」
オレのイカしたボケを軽くスルーしたと思えば、今度はオレの目をジッと見つめながらそんな事を呟いてきた。
ちょっと待てよ…
何でコイツがその事を知ってんだ?
それ以前に、あの青髪蒼眼のブルーパンツガールもオレの事を預言者だとか何とか言ってたような…
「…その反応、図星みたいだね」
予想外の問いかけに動揺するオレを見て、フフフと小さく笑う少年。
オレは自分に未来予知の能力があるのを、友達どころか親にだって喋った事は無い…
つまりこの地球上…いや、宇宙にすらオレの能力を知っている奴なんて居ないハズなのに…
「フフフ…不思議そうな顔をしているね」
「…」
無言で少年を睨むオレだが、少年はそれを全く気にもしない様子でニッコリと笑うと、ギシリとソファーを軋ませながらゆっくりと立ち上がる。
そしてオレに背を向けながらコツコツと足音を立てながらデスクに向かう。
「隠し事なんてものは、すぐにバレてしまうものさ。いくら本人が上手く隠しているつもりでも、周囲の人間から見ればそれが不自然に映るものなんだよ」
そう呟きながら、少年は金銀の装飾が施されたド派手なイスに腰掛ける。
「例えば、君の場合は未来を予知する能力だが、それを使って雑誌の懸賞の当選番号なんかを予知したりしていたんじゃないか?」
「…ッ!」
「これも図星のようだね。まぁ君の能力は君の好きに使えばいい…だけど、毎週のように当選者発表の覧に同じ人物の名前が載っていれば、当然それを怪しむ人間が出てくるのは当たり前…」
「噂っていうのは、そういった些細な所から漏れてしまうんだ。「アイツは未来が見えているんだ」「アイツは予知能力者なんだ」ってね…」
そう言って、語りを終えた少年は黄金色に輝く皿に盛ってあるアメ玉を口に放り込む。
オレは何も言い返す言葉が浮かんでこないまま、ただその話を黙って聞く事しか出来なかった…
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