捩じる者

15/37
前へ
/172ページ
次へ
私は、“普通の人”が嫌い。 “普通の人”は“普通じゃない私”を「気味が悪い」って嫌うから。 だから嫌い。 “普通じゃない人”は好き。組織の皆。 みんな“普通じゃない私”を「仲間だ」と言ってくれるから。 だから好き。 でも“普通じゃない悪い人”は嫌い。 平気で人を傷つけたり殺したりする“普通じゃない悪い人”は“普通の人”よりもっともっと嫌い。 「…こんばんわ。可愛らしいお嬢さん」 「…」 この人は“普通じゃない悪い人”。 人を笑いながら平気で殺しちゃうような悪い人。 私は“普通の人”が嫌い。 でも…それでも死んでも良いとは思わない。 何も悪い事はしていないのに、理不尽に命を奪われる…そんなの酷すぎる。 「…おや?これはまた随分とお若いようですが…失礼ですがおいくつで?」 「………今年で16になります」 「ほぉ、まだ学生さんですか………ククク…いけませんねぇ、子供がこんな時間にこんな場所をうろついていては…」 そう言って、男の人はニヤリといやらしい笑みを浮かべた。 …気味が悪い。私なんかよりこの人の方がずっと… 「さて…そんな悪い子には御仕置きが必要ですよねぇ?ククク…」 そして、男が足を一歩こっちへ踏み出した。 それを合図に、私は男に背を向けて走り出す。 隣の廃屋の屋上を見ると崩斗君がポンタ君を捕まえて飛んで行くのが見えた。 きっと例の場所に向かったんだ。 後は私がアイツを誘導する…!
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2438人が本棚に入れています
本棚に追加