プロローグ:親友

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――翌日。 俺は学校にも行かず、昼過ぎまで家に閉じ籠っていた後、ふとある衝動にかられて、部屋を出た。 ヒュウと渇いた風が吹く。 少し寒い。 長袖のパーカーだけでは、この時期は少々薄着過ぎたか、と。 俺はポケットに手を突っ込みながら軽く後悔する。 昨日渡った踏切までたどり着く。 あの大きな血痕は、多少薄くなっていたものの、相変わらずそこにあった。 不可解は、変わらずそこに存在していた。 「……」 俺はその血痕から目をそらしながら、更に歩き続けた。 向かう先は、いつもと同じ。 使明がいるであろう公園に、俺は向かっていた。 とは言え、今日はいつもと時間が違う。 学校が終わってからいつも会っているのだが、今日はまだ学校のある時間だ。 使明はまだいないだろう。 だが、例えそうだとしても。 俺は使明と過ごすあの空間に、身を置いていたかった。 「……!」 ふと、俺のポケットがぶるぶると振動を発する。 携帯のバイブレーションだ。 俺は携帯を取りだし、開く。 見ると、市からの危険通告メールだった。 大抵この手の物の中身は地震情報か、あるいは。 ――ヴァイラス出没を知らせるメール。 俺の携帯に届くと言うことは、この町のどこか、決して遠くはないところでヴァイラスが現れたと言うことだろう。 基本的に奴らは地中、空、山や森の中に生息し、時に人を喰らいに町中に姿を表す。 この辺りに山も森もない。大体が空か地中からだ。 メールの内容に目を通してみれば、ここから少し北方で鳥型のヴァイラスが現れたと書いてある。 地中に住むヴァイラスならいいが、鳥型となると移動範囲が広い。 ここから少し離れた場所とは言え、決して安心は出来ない。 「……」 俺は、パタリと携帯を閉じ、しまった。 だから、何だよ。 どうせ、どこにも逃げるところなんてないんだ。 だから俺が向かう場所を変える必要なんてない。 死ぬのは怖いくせに、実際に死が迫っていなければ、何と無頓着なことか。 カッコ悪いな、俺。 ……まあ、いいさ。 カッコつけたところで、この世界じゃ何の意味もないんだから。
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