早くも生き別れ

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「人多過ぎるよ~、酸欠になっちゃう」 「名門だからね、人がいっぱいなのは仕方ないよ」 体育館に入るなり、いきなり僕は、人が溢れるこの状況に酔ってしまった。うぷっ 「なんだか、気持ち悪っ」 「晴ちゃん、弱すぎ」 だってこの人数ありえないよ。 ざっと見て1000はいるんじゃないかな。 「いろんな都市や街から集まるからね」 へらっとした顔で心ちゃんは言う。 「もう帰りたい」 あぁ、立っているだけで目眩が… 「ほんと、晴ちゃんは情けないなぁ」 そう言う心ちゃんも、なんだか体調がよくないようだ。 「顔色悪いけど、大丈夫?」 「ん~、これだけ多いと嫌でも読んじゃうからな…」 ふら~、と揺れながらも心ちゃんは必死に踏んばっている。 「僕が心ちゃんを支えるよ」 きっとたくさんの人の心の声が聞こえちゃうんだね。 「ヘタレでも、こんな告白うれしい!!!」 「誤解されるから、そのノリには乗らない」 「ちぇ、つまんないの」 お互い真っ青な顔して何してるんだろう。 「あっ、やっと始まるっぽいよ」 心ちゃんがそう言うのと同時に、立っている後ろの床から椅子がはえてきた。 「すごい、どうなってるの?」 「晴ちゃん興奮しすぎ!!ただの魔法だよ」 僕のドキドキを返せ。
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