早くも生き別れ

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「あっ、座っていいっぽい」 周りを見渡すと、次々と生徒が椅子に座りはじめていた。 「助かった。よっこらしょっと」 「晴ちゃんジジくさっ」 「しかたないって、癖なんだから」 そんなやり取りをしていると、だんだん周りが静かになっていく。 「そろそろ始まるのかな?」 僕は遠くにあるステージに目を向けた。 「ん~、包帯ごしじゃ視界悪いし、頑張ってもあそこまで見えない」 心ちゃんは一人落ち込みだした。 「それ外せば?」 「外したら、修行にならない」 あっそれ修行なんだ。 「じゃないと、いちいちこんなのつけないよ」 「メンドイ」と言うと心ちゃんは眠り始めた。 いや、今から大事な話があるのに。 「何?俺心の準備がまだだよ」 「僕からじゃないので、準備しなくていいです」 はぁ、僕このノリについていけるかな…? 「晴ちゃんならできるよ♪」 「もう、寝るなら早く寝てください」 抱き着いてくる心ちゃんを離して、僕は入学式の始まりをじっと待った。 心ちゃん?隣で爆睡中。
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