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状況が理解出来なかった。
全裸だった彼女……雪咲さんは何やら一人でぶつぶつ言っているのだが、僕に話し掛けている訳でもなく、完全にただの独り言のようだ。僕としては早くこの状況を一から十まできっちりかっちり説明してもらいたいのだが、初対面の女性と全裸で出くわした後なのだ。つまり気まずい。向こうは一ミリたりとも気にしてはいないようなのだが。
当たり前だが一応言っておくと、既に僕も雪咲さんも裸ではない。雪咲さんはジーパンにTシャツ、その上から白衣を来ているし、僕だってきちんとカラフルな熊ちゃんが描かれたファンシーなパジャマを着ている。
誤解を招くといけないので言っておくが、このパジャマは決して僕の私物ではない。服を着ようにも男物がなかったので、雪咲さんが貸してくれたのだ。セレクトに若干の悪意を感じるのだが、これは怒っていいのだろうか。怒っていいんだよね?
「あのー、雪咲さん?」
色々と耐えられなくなった僕は手を挙げつつ彼女の名前を呼んだ。すると、雪咲さんはピタッと独り言を止めて僕の方を見た。
「いや、すまんすまん。どうにも独り言が癖になっていてな。で、なんだ? コタロー」
「いや、その……この状況を説明して頂けたらなーなんて」
「さっきも言っただろう。君は今日からサイボーグでモルモットなんだ」
「それでわからないから聞いているんですけど……」
「君は今日からモルモットでサイボーグなんだ」
「順番の問題じゃないです」
「サイボーグは君から今日でモルモットなんだ」
「最早意味不明ですけど!?」
「〇@∴#£@☆●※」
「日本語ですらない!」
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