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彼の惨状を見るに、体の殆どを機械化しなくてはならなくなるが、命だけは取り留めるだろう。
「君は……生きたいか?」
男の子に尋ねるが、当然返事はない。ただ、私には彼が生きたいと、そう思っているように見えたのだ。
覚悟を決めた私は彼を抱えた。さすがにこのまま家まで帰る訳には行かないので、友人に車を出してもらう手筈を取った。
そして、私は胸の中で思いの丈を叫んだのだ。
実験用モルモットGetだぜ、イヤッハァー!』
「って、うぉおおい! 最後の最後で本音が漏れてるよ! 理性という名のダムが決壊してっぞコラァ!」
「いやぁ、生身の人間の実験台なんてレアだからなぁ。本当に私は運がよかった」
「僕自身の運はかなり悪かったような気がしますがね! てゆーか雪咲さん、そもそも僕を助けるつもりありました……?」
「そりゃあったぞ。実験台が欲しかったのが半分と、モルモットが欲しかったのが半分だ」
「一〇〇%モルモットが欲しかっただけじゃねぇか!」
なんだこのマッドサイエンティストは。
くそぅ、途中まではいい話っぽかったのに、最後の最後で台なしだ。そりゃまあ、助けてくれた事は感謝すべきだし感謝しているが……助けるなら助けるで、もっとピュアな気持ちで助けて欲しかった。いや、この際贅沢は言わない。謝礼が欲しいとかでも構わないから、せめてモルモットが欲しいってのは止めてもらいたい。激しく身の危険を感じる。それも悪寒が走る種類の。
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