雪咲博士の改造日記

プロローグ

多分、僕は死んだのだろう。
休日、特に用事もなかったのにも関わらず、僕は近所の大型百貨店に向かい――そこで死んだらしい。
らしいなんて、曖昧な表現になってしまうのは僕の記憶がその通りに曖昧だからだ。気づいた時には僕は瓦礫の下で埋もれていた。どくどくと流れ出ていた赤い液体と、徐々に薄れていく意識が僕にはっきりと自らの死を告げていた。ああ、これが死ぬって事なのかと、僕はうつらうつら考えていたような気がする。人間は意外と冷静だ。

どうしてこんな事になったのだろう。考えられるのは何かの事件か、あるいは天災か、今現在の世界の治安の状況を考えれば前者の可能性が高かったが、このまま死ぬであろう僕には関係のない事だった。

一〇月三日――――僕は死んだ。