プロローグ

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しかし、ここが天国か。想像していたものと随分違う。こんなにもリアリティーに溢れているとは思わなんだ。 かくも現実とは常に理想と掛け離れているものだと嫌というほど知っているので特に驚く事はないが、仮にも天国なのだから、もう少しなんとかならないのだろうか。贅沢は言わない。半裸の女の子がいればそれでいい。それがダメなら半裸の女の子。百歩譲って、譲りに譲っても半裸の女の子くらいは用意しておくべきではないだろうか。まったく、神様も気がきかない。 もしかしたら現実とは理想と掛け離れる為に存在しているのかもしれない、と僕は思った。 ぶつくさと現実を嘆きながら体を起こすと、自分が全裸である事を知った。天国とは随分オープンな場所であるらしい。それならばなおの事、女の子がいるべきではないのか。おかしい。なんだここは、半裸の女の子がいないなんて、本当にここは天国なのだろうか。もしかしたら地獄? いやしかし僕が地獄に来るはずが……。 そう考えていると、部屋の外からペタペタと人が裸足で歩くような音が聞こえた。誰だろう。神様? はっ、どうせ神様なんて髪も髭もボーボーの白髪のオッサンなんだろ? そんなのはいいから女の子を出せ、女の子だ。半裸の女の子だ。半裸以外は認めん。異論があるものは手を上げろ、全て却下してしんぜよう。 入ってきたのは神様ではなかった。とゆうか僕の希望通りだった。彼女が女の子というよりは女性で、半裸を通り越して全裸であった事を除けば、だが。 女性と僕の視線が重なる。 彼女は風呂上がりらしく、濡れた頭をタオルで拭いていた。長く綺麗な黒髪が湿り、頬に張り付いてる様は異常にエロティックだった。
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