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『ヘイヘイ、そんな事言わずに呼んじまえよ。そして使っちまえよ。もう準備は出来てるぜ』
駄目だ。お前の準備はともかく、僕の心の準備が出来ていない!
そんな風に僕が心の中で自らのマイコーと対話していると、女性が興味深そうに僕のマイコーを見ている事に気づいた。
「生殖機能もきちんと稼動しているな。よしよし、流石は私、今日も今日とて天才だ」
そう言ったかと思うと、彼女はタオルを投げ捨てて、ぐっと胸を張った。
「おはよう。そして初めまして、姐宮小太郎(アネミヤ コタロウ)。私は天才科学者、雪咲白百合(ユキサキ シラユリ)。突然だが、君は今日からサイボーグで私のモルモットだ。よろしく頼むぞ」
「……はい?」
二〇ギガ分のデータを無理矢理一ギガのメモリーに詰め込んだような、そんな情報過多な挨拶に僕は動揺を隠せなかった。
僕はポカーンとアホみたいに口を開けたまま閉じる事ができず、女性は自身たっぷり堂々と恥ずかしげもなく胸を張り続け、マイコーは俺を使え俺を使えと叫び散らしている。いや、意味が分からない。なんだこれ、この世の終わりか?
やっぱりここは天国じゃないな、と僕は今一度確信した。
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