サイボーグだ!

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雪咲白百合(ユキサキ シラユリ)。二三歳女。科学者。男性経験は零。 それが先程の裸の彼女に関する情報。いや、別に男性経験とかはどうでもよかったのだが、何故か彼女の方から教えてくれたのだ。 とにかく、雪咲白百合というのが彼女の名前らしかった。正直驚いた。僕は彼女の名前知っていたのだ。僕だけじゃない、この世界に生きる人間なら一度は耳にする名前だ。 雪咲白百合は科学者だ。本人は自己紹介の時に“天才”科学者と、天才の部分を惜し気もなく強調していたが、それはあながち間違いではない。むしろ正しい。 雪咲白百合は天才だ。機械工学のプロフェッショナルであり、同時に生物学や遺伝子工学などバイオテクノロジーにまで精通し、外科医であり大学教授であり弁護士であり保育士でもある、まさに天才と呼ぶに相応しい人物だ。特に最初に述べた機械とバイオについては本当に素晴らしい。彼女が発明した神経と感覚を持った義手や義足が世界中の人々を救ったのだ。それは冗談でもない事実だ。 そして僕は今、彼女の家にいる。とゆうか、さっきの手術室みたいな場所が既に彼女の家の施設の一つだったのだ。現在はリビングルームに案内されていた。適度に片付き適度に散らかった生活感のある部屋だ。テーブルと椅子とキャビネットがあるだけで、少し家具が少ない気もしたがそれだけだった。 「いやー、しかしなんだ。本当によかったよかった。二、三回諦めようかと思うくらい大変だったから、成功してよかったよ。最も、私は天才だから成功して当たり前だったかもしれんな」
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