俺と魔女の小学生と酢昆布

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「トリック・オア・トリート!」 最近、朝夕と冷え込む日が続いている。秋は冬に塗り替えられようとしていた。 そんな10月31日の夜8時。玄関の前に押し寄せた数人のチビが一斉に口を開いた。 「お菓子ちょうだい!」 そう言った先頭の魔女の格好をしたチビに、プラスチックのカボチャの籠をヘソ辺りに突き出される。 「……はあ?」 なんだこいつらは。小学生か。皆が皆、魔女(絶対手作り)や幽霊(ベッドシーツに目と口を書いただけ)の衣装を身につけている。 「おにーさん今日が何の日か知らないの? ハロウィンだよ? ハ・ロ・ウィ・ン!」 カボチャの籠を持った魔女が鼻で笑って胸を張る。むかつく。 そっか、こいつらは地元の子供会の小学生たちだ。ハロウィンだからって親か誰かが企画したんだろう。それで近所からお菓子をふんだくって回ってるのか。 「残念だがお菓子はありませーん。他を当たれチビども」 ぴしゃりと扉を閉める。あんな尊大な態度のガキにお菓子なんかやるもんか。お菓子なら他をあたれ。観かけのDVDに戻るべく、居間に行く。 行こうとすると、猛烈な勢いでインターホンが鳴った。 「せっかく天使の様なかわいい子供達が来たってえのに、飴の一つもよこさんとはどういう了見だこらあー!!」
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