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私だって、貴方に触れたい。
そっと、唇を寄せた。
「……望美」
短い口づけの後、唇を離してリズを見つめると、驚いたような困ったような表情が映る。
「私も同じ気持ちだって言ったら、先生は困りますか?」
「…………」
しばしリズと視線を交わし、無言のまま望美は抱き寄せられた。
トクン…トクン…と、早鐘を打つ心音が望美の耳に聞こえる。
嬉しいような恥ずかしいような、でもやはり先生の一面がまた一つ見れて嬉しいのだと結論に至る。
「……お前も、卑怯だ」
「え…?」
「愛しいお前にそこまで言わせて、させて、私はどうすればいい…?まるで、私の理性と本能を試されているようだ…」
抱き締められている腕に力がこもった。
「先生…」
そして吐き捨てるように
「私は、そこまで強くはないのだ…」
ソファーに押し倒されて口づけられているのに気付いたのは、数秒後の事だ。
そしてリズが吐き捨てた言葉の通り、理性を捨てた「男」として、改めて抱き締められた望美は高鳴る鼓動と高まる体温を感じながら瞼を閉じた――…。
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