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――さて、こんな言葉がある。
『獣よく業を制す』
いや、別にこれは誤字ではない。
そうご存知の通り古文書の文献の一節だ。中等部の古典分野の教科書に必ずのっている。いわば常識の古典言葉だ。…余談だが『柔能く剛を制す』とは昔の洒落た詩人がアレンジしたものと言われている。
…話を戻すが、『この獣能く業を制す』の意味を知っているだろうか?
簡単に言うならばこれは諺ではなく伝承であり伝説であり、言葉通りの意味なのだ。
つまり『業』とはカルマ、様々な害をなすものだ。
この世界に蔓延る異形の化け物[モンスター]と言ってもいいだろう。
肝心なのはこの『獣』と記述されている者だ。
これはざっと300年ほど前までは私たち人間を動物としての総称、獣として考えられてきたが、しかし新たに発見された古文書によってその時代の人々に多大な衝撃を与えた事は歴史の授業でもご存知だろう。
そう、その古文書をかい摘まんで説明すると
――『獣』とは人にして人に非ず。その身に大地の力を宿し、獣の力使役するものなり。
後半の獣とはおそらくは一般的にとらえられる犬、狐といった動物だろうと推測される。
つまり彼等は自信に獣の力をやどしあらゆる災厄を打ち砕いたということが推測できる。
しかし古代人(つまり我々の先祖)はいまだに種を残しているのに対しその『獣』なる者達が一人としていないことに違和感を覚える。
それを私は是非とも読み解いていきたいのだが―――非常に惜しらむことに、この文の続きである大部分が今だ解読のできない古代文字であり恐らくは時代も文化をも跨いで執筆されたものだと伺える。
だが私は諦めずにさらにこの興味深い古文書を研究していこうと思う。
さて、次のページからは古代遺跡について語っていこうと思うがその前に彼の古文書の名前を言っておくべきであろう。
その名は古代古文書『animal』
そして私はこの本に出てくる『獣』をこの本の名をもじり
『ラミナ』と呼ぶことにした。
――――考古学第一人者ロスト・イェーガー著
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