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「で、それはいつ終わる?」
龍驤が帰ってきた妖精たちに尋ねる。続けて
「これなら妖精たちを一気に飛ばして小細工終了と同時に砲撃を加えて一網打尽にした方が絶対良いっしょ?」
と。
「その通りだね。砲撃は既定路線だし、その追撃で妖精を飛ばせば一網打尽だよ。準備の方は終わり次第に一匹戻ってくる予定だったけど、皆で飛ばした方が早いかもしれない」
と武蔵の零式観測機が頷きながら答えた。
「一網打尽?つまりこの先って……」
と神鷹が右手を口で抑える。更にはその横の大和がまさか?と表情で言いたげなのがよく分かる。
「ああ、洞窟もあるし、何なら怪しい工事車両もある。ホイールドーザーとかブルドーザーって奴かな?何台もあったよ」
「流石だ小烏。良い情報を持ってきてくれた!」
武蔵が右手に止まった自身の零式観測機を手袋越しに左手の人差し指で撫でた時
『こちら長門。皆様の会話聞きましたよ。ではこちらには赤城さんと瑞鶴さんがいます。他の空母の面々にも伝えているのでいつでも妖精を飛ばせますよ』
と長門から無線が飛んできた。どうやら陸奥が無線の通話スイッチをオンにしており、大和たちの会話は長門に届いていたのだ。
「此方陸奥。姉さん、妖精を飛ばせるだけ飛ばしましょう。私からも飛ばします」
『此方赤城。こっちの方は一緒にいる瑞鶴とワスプが先んじて飛ばしたよ』
長門と一緒にいる赤城からの入電だ。
長門や赤城のいる方向は大和達よりも崖に近い砂利の山の影にいる。大和から見て左側だ。ただ砂利の山自体の高さは120センチにも満たないような身を隠すには低い山だ。それでも幅は長門たちをすっぽり覆えてはいる幅にはなっている。
赤城が大和達に手を振った。それに陸奥が弾幕の届いていないタイミングで手を振って応答する。
『砲撃タイミングは私の妖精達が崖の上に着いて降下を開始。その後弾幕が止まったタイミングってからで如何?』
「陸奥ちゃん、赤城にそれでお願いできる?って伝えてくれる?」
「承知しました大和さん」
陸奥は無線で長門に了承したと伝える。それを見た赤城は軽く頷いて
『空母隊、全員妖精準備!』
と叫ぶと各所にいる空母から妖精が飛び立つ。
『伊勢、日向。あなたたちも瑞雲も出撃させて。今の無線聞こえたわね?』
赤城はそのまま航空戦艦姉妹の伊勢と日向を呼び出す。応答に出たのは
『…此方山城。伊勢と日向に代わって返答します。…了承しました、です。…二人はやる気です』
一緒にいる山城のようだ。
『よし、一気に飛ばしなさい!』
赤城の合図に彼女達の妖精も離昇した。
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