贋札円舞曲後編

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「遅いぞ、お前たち」 「古鷹、無線は聞いてたよ。頑張ったな」 Y34グロリアから降りた金剛が肩を組むように古鷹の右肩を叩く。 「ここは僕らが完全に黙らせたよ。それよりも会長」 「?」 「あの先にある道が、きっと例の連中がいる道だろう。あそこまでは綺麗に除雪されている」 古鷹が指さした先。北側の崖にある切通しがそこにあった。雪景色の中に泥がむき出しになった道が間にある。 「あそこか。よし行くぞ」 と金剛が言って再びY34グロリアに乗り込もうとした瞬間、幾重の銃声と96式装輪装甲車に命中してはじき返される甲高い音が響く。 何と向こうから本隊が迎え撃ってきたのだ。戦闘員は少なく見積もってもざっと十人以上。崖の上から発砲している。切通しの方からはスノーモビルと思わしきエンジン音も聞こえてくる。彼らの増援だろう。 「くそ!まだいたか!?」 直ぐに全員が一度仕舞った砲塔を再度召喚させ、相手がいる方向へ向けて発砲。 しかし、着弾より前に相手が逃げたのか着弾の手応えが一切ない。ただ崖の一部が崩れただけだ。 着弾後すぐに沈黙していた攻撃が再開。それも一回目の攻撃よりも激しいものだ。 パトカーにダンプたちも動けない間に穴だらけになってく。96式装輪装甲車たちも銃弾を浴び、それを弾く甲高い音が幾重にもこだまする。 誰もが被弾する前に物陰に隠れることには成功したが、それでも顔を出せないくらいの弾幕が飛んでくる。 「隊長、敵の弾幕、熾烈です!」 「んなことわかってる!」 96式装輪装甲車を盾にして隠れている小隊長と隊員は弾幕が途切れているところを探しているが見つけられず、仕方なくしゃがんで89式小銃のチェックをした。 「あの野郎(あんにゃろ)、まじかよ」 優男刑事も穴だらけになったキザシの陰に隠れUSPの弾薬を確認するために弾倉を取り外した。左ではゴリラ刑事が自警団から借りたAN-94アバカンを構えて応戦しよう頭を出すが、マシンガンが如くの弾幕に応戦できずにまた頭を隠した。
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