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だんだんと近づいてくる男の目には、少しの躊躇いもなかった。
極度の恐怖から、そして、流れ出す自分の血液を目の当たりにし、少女の呼吸は早くなる一方だった。
傷口を押さえていない右手を地面に付け、体を支えていたが、少しでも気が弛めば、地に倒れ込み、もう動けないだろうとわかっていた。
視界がかすみ、意識もはっきりしない中、少女は死を覚悟した。
何だか寒いな。
そうか、もうすぐ12月だもんな。
あと数日で誕生日だったのに。
そしたら、家族でテーブルの上のケーキを囲んでまた楽しい一年が迎えられると思ってたのに。
まだやりたいことたくさんあったのにな。
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