序章

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  友達の顔、両親の顔、そして、今まで生きてきた15年近くの思い出がまるで映画のエンドロールを見ているように甦ってくる。 《生きたいか?》 頭の中で声が響く。 当たり前じゃない。 まだやりたいことだってあるし、親より先に死ぬなんてとんでもなく親不孝者じゃない! 《そうか。俺としてもお前を死なせるわけにはいかないからな》 その声が聞こえた直後、目の前にいた男は大きな音をたてて倒れ込み、鼾をかきはじめた。 眠ったの? 《ははっ!これは傑作だ》 少女も安心したのか右手に入れていた力が抜け、背中からゆっくり倒れた。 《大丈夫か?》 緊張がとけ、痛みが身体中に広がった。 少女の目には涙が溜まっていた。
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