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「のんちゃん先輩…のん?のりのり……うーん」
「何1人でぶつぶつ言ってんだ、ミー太」
待ち合わせのカフェでジュースを前に考え事をしていると、待ち人来たり。のんちゃん先輩が訝しげな表情でやって来た。
するりと前の席に座ると、店員さんに飲み物をオーダーする。自然な流れ、惚気だと思うけど、かっこいいなぁ。
「んとね、呼び方を考えてたの」
「呼び方?」
きょとんとこちらを見て言葉を返す。
「そう。せっかくお付き合いさせて貰ってるんだもん。何か特別な呼び方とか、いーなぁって思って」
「なっ!?」
恥ずかしいけど思い切って言ってみると、のんちゃん先輩は耳まで赤くして驚く。何気に、こういう可愛いとこも好きなんだよなぁ。
「だって、のんちゃん先輩、っていつまでも先輩つけて呼ぶのは変でしょ?」
「まぁ、な」
「かといって、のんちゃんだと彼氏って感じじゃないし、祝さんだと他人行儀だし。ダーリンは流石に恥ずかしいし」
「まぁ、うん、そ、そうだな、」
恥ずかしいのか、ちょうど来たジュースを飲み込んでごまかしてる。ふふふ
「それでね、祝って呼び捨ても考えたの!」
「!!?」
突然の呼び捨てに驚いたのか、ジュースが気管に入ってむせている。本当に、可愛い人だ。なんて言葉にしたら怒るから言わないけど。
「…って思ったんだけど、まだちょっと恥ずかしいから、呼べないけどね」
本当に。今呼んだのも、ちょっと勇気必要だったからなぁ。
「ミー太は」
ぽつりとのんちゃん先輩が何か言葉を紡ぐ。
「私は、何?」
「…ミー太はミー太の好きなように呼べばいーよ」
耳まで真っ赤にして、そう言う。
あぁ、ダメ。ほんと好きすぎて舞い上がってしまいそうだよ。
今は、私だけののんちゃん先輩だって幸せに浸っても、イイよね神様。
「ありがと。しばらくはそのまま呼ばせて下サイ」
いつか【祝】って自然に言えるようになるから。きっと言えるようになるから。
「さっ、のんちゃん先輩!これからどこに行きますか?」
だから、待っててね、のんちゃん先輩!
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