0人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく歩くと両親の墓石の前に到着した。
少し周りを見渡してみる。
こんな時間にもかかわらずけっこうな人数がお墓参りに来ているみたい。
そして彼らのほとんどが、あの赤い月に視線を向けていた。
まぁ、ああいう現象は珍しいから見とれてしまうのも分かる。
私は再び両親の墓石に視線を向け、膝を曲げた。
そして両手を胸の前で合わせて心の中で呟く。
『お父さん、お母さん。元気にしてますか?私は元気だよ!お兄ちゃんは最近元気が無いけど、多分大丈夫だと思う!それと私──』
私は伝えたかったことを心の中で全て話し終えると、立ち上がった。
そして私が帰ろうと思い、歩き始めようとしたその時──ギュッ…
冷たい何かが私の足首を覆った─
。
最初のコメントを投稿しよう!