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──結華──
はぁ…はぁ……。
12月の真冬。白くなって現れる吐息が、今の寒さを物語っている。
『もうこんな時間!少し急ごかなきゃ…』
今の時刻は夜の11時ちょうど。
私は、1年前に交通事故で亡くなった両親のお墓に向かっている。
明日にしようかなって思ったけど、やっぱり今日するって決めたことは今日しないと気が済まない。
それにお兄ちゃんもお墓に来てくれるみたいだし、私だけ帰るわけにもいかなかった。
でもさすがにこの時間に1人はちょっと怖い…だから私は小走りでそこに向かっている。
しかも今夜は月が赤い…
その光が私の心を突き通って、恐怖心を大きくさせているように感じた。
私は無意識の内にさらに足を速めて走っていた。
。
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