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「立てるか?マナ」
セシルが言う。
右足、OK。左足、OK。
私はゆっくりと立ち上がる。
「なんだったんだ…今のは…」
「分からない…でもあの犬に助けられたのは確かだね…」
しばしの沈黙…きっとセシルは同じ事を考えてる。
先に口を開いたのはセシルだった。
「この先に進む…それとも、帰る?」
この先に進むと言うことは、あの裏切り者ローグ…ユーリを追いかけて、オーブを取り返すと言うことだ。
帰ると言うことは一切の手掛かりを無にすると言うことだ…。
帰る考えは後ろ向きだが、前に進むのは正直…怖い。
「分からない…決めて…セシル」
こういう時のセシルはさっぱりする。
この人はとても素直だから直感で物を言う。
「追おう。下がっても何も変わらない」
私は頷き、立ち上がった。
ユーリが進んだ木と木の間。もう遥か先であろう距離を見つめた…。
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