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「やっと見つけた…」
驚いて振り返った深雪太夫も、近藤の姿を視界に捉えるとたおやかに微笑んでいる。
「やっと…やっと見つけた。」
「御立派になられましたね…」
後を追ってきた主人に、近藤は深雪に変更する旨伝え、出直すことにする。
深雪にまた来ると告げ、近藤は屯所へと向かった。
―――――――――――
「深雪。いや一華。」
「貴方なら気付いてくれると信じておりました。」
柔らかな笑みで強く抱きしめてきた近藤に応える。
「私は貴方を御守りする為に生まれました。でも、貴方は私の所為で変わってしまわれた。芹沢の行動には驚きましたが、貴方を御守りし、散ってゆくことに後悔はありませんでした。深雪の身体に自分が入りこの島原で生きてゆくと悟った後も、貴方ならばきっと志を取り戻して、身を立てた後私を迎えに来て下さると信じておりました。ずっとお会いしたかった…」
ここまで一息に話すと、深雪(イチカ)は静かに身体を離して近藤に向き直った。
月の綺麗な夜だった。
二人の影は静かに重なり一つになった。
―――――――――――
近藤勇 終
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